理不尽な思い

幼少期の追記

幼い頃、母は、よく子供達に

「口答えをしない、屁理屈を言わない」と叱った

親の言うことを否定したり

違う意見を言うとすぐにこの言葉が返ってくる

その度に、子供達が自分の気持ちに蓋をすることになるとも知らずに

子供の言うことなど端から聞こうとはしなかった

彼女にとって子供とは、自分の所有物で

自分の思い通りになる生き物だったのかもしれない

小学校低学年の時

夏休みになると毎日のように海へ泳ぎに行った

自宅から海まで5分とかからない環境であった

その頃は、保護者会のお母さんたちが交代で

子供達を海へ連れて行ってくれるのだ

私は海が好きで泳ぐのも大好きだった

友達と一緒に紫外線を浴びながら夏を満喫していた

ある日、遊泳からの帰り友人と学校での話になった

夏休みの注意事項として先生が話をされた際

泳ぎに行くのは午前、午後どちらでも良いという話をされていた

友人は午前、午後、両方泳いでもいいのかな?と訊く

私は引率してくれていた保護者に何気なくそれを尋ねた

その答えがどうだったのか記憶になかったが

自宅に帰ると思ってもいなかった事が待ち受ける。

厳しい顔をした母は

海からご機嫌で帰ってきた私をいきなり叱りつけた

「子供が大人に何を言っているの?」

「そんな生意気な口をどこで習った?」

みたいなことを捲し立てられ

もう泳ぎには行かせないと言い渡された

引率してくれた保護者が母に何を言ったのか知る由もなく

母がそれをどう受け止めたのかも分からなかったが

(なぜ、お母さんは私の話を聞かないのだろう‥)

(私より他人の言葉を信じるんだ‥)

と何故、自分が叱られているのかより

母に対する不信感でいっぱいになった

大人になり今でも、あの時の理不尽な思いは鮮明に覚えている

子供でも色々なことを考えているし、感じているのだ

私は、大人になり母になったら

こんな事はしないと記憶した

この夏の出来事は母への不信感を確かなものにした

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