91歳の女心

母のこと

母は色々なものにこだわりがある

物を捨てられないこともそうだが

おしゃれをする事も一つのこだわりである

ショーツは必ずレースがついた物でなければならない

しかも保管している枚数もすごい数だ

入院するたびに下着がいる、と購入をせがむ

タオルから始まり、パジャマ、靴下など

自分のお気に入りを病院へ持参するのだ

そして医療スタッフから「おしゃれですね」と

言われるのを最大の喜びとしている

前回の入院でもリハビリ担当の理学療法士さんに好意を持ち

自分は時別に良くしてもらっていると話す

退院してデイに通所することになり

髪を染め、カットに行きたいと言い出す

まだ、長時間の座位が難しいので

もう少し様子を見るよう促すも

デイに行くのに、こんな髪では行けないと言う

いや、いや‥ 😅

周りはみんな白髪頭のおじーさん、おばーさんだよ

前日から何を着て行こうかと、あれこれ服を出して迷う

服の枚数も私の二倍は保持しているだろう

それでも、季節ごとに服を買おうとする

1枚購入するなら1枚処分しなきゃ

片付かないよ、と諭すも「捨てる」概念は持ち合わせていない

足るを知らない人だ

そんな母と兄と叔母を連れて旅行に行った時

チェックアウトをして帰ろうとした時に

母の靴がパラパラと剥がれるように崩れバラバラになった

みんなで何がどうしたと?と不思議がると

本革の靴を大切にビニール袋に入れ

それは大事に押入れの中で保管していたらしい

密閉されて息ができない皮が突然、空気に晒され

ヒビが入り朽ちてしまったと言うわけだ

みんなで大笑いした

私はあまり母のDNAを受け継いでいないようで

着る物はシンプルで洗濯できる物

洗いざらしの動きやすい服が好きだ

どう見ても91歳の母の女子力の方が高い

      まだ紅葉中のモモタロウ

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